d10f1fc7a4d35c73dcb576f3dfd20378_s(2)身分事項の公証

 ア 日本国籍の証明
 日本国民であることの要件は国籍法の定めるところによるが(国籍法1条)、戸籍に登録されるのは国籍法に定める日本国民だけである。したがって、戸籍に記載されている者は、その記載があること自体で日本国籍を有していることが証明されていることになる。
 なお、日本国民であるにもかかわらず何らかの理由で戸籍に登録されていない、いわゆる「無戸籍者」が数千人存在すると言われている。このため、戸籍に記載されている者は全て日本国籍を有するということはできても、日本国籍を有する者がすべて戸籍に登録されているということはできない。

 イ 氏及び名の証明
 人は、嫡出であると否とを問わず出生によって氏を取得する(民790条)。名について明文の規定はないものの、通説は、親権の作用のひとつである命名権によって名が付されると説明している。いずれにしても、人は氏名によって特定区別され、社会生活を営むことになる。戸籍には氏名を記載しなければならないものとされており(戸13①)、戸籍謄本等によって氏名が証明される。なお、同一戸籍内の者と同一の名をつけることはできないが(昭10・10・5民事甲1169号回答)、同一戸籍内であっても既に婚姻等により除籍された者と同一の名をつけることは許される(昭47・8・23民事二発420号回答)。

 ウ 生年月日、年齢の証明
 人が氏名によって特定区分されることは前述のとおりであるが、生年月日も氏名とともに人を特定区分する際に利用されている。生年月日は、出生届の際に添付された医師等の作成に係る出生証明書に記載された出生年月日等により確認され、戸籍に記載される(戸49Ⅲ、13②)。したがって、戸籍謄本等によって生年月日が公権的に証明されることとなる。
 また、年齢計算ニ関スル法律第1条が「年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス」と定めていることから、生年月日の記載は年齢を証明する機能をも担っていることとなる。
法律上、年齢について様々な定め(例として、成年(民3)、選挙権(公職選挙法9)、婚姻適齢(民731)など)がなされているが、これらは、戸籍謄本等によって生年月日が公権的に証明されることによってそれぞれの法律が適用されることとなる。

 エ 身分関係の証明
 戸籍は、人の重要な身分関係の形成事項を登録ものであるが、具体的には、出生、死亡、婚姻、離婚、養子縁組、離縁、認知などの身分関係の形成、変動、終了等の事項が記載される。
そして、市町村長が戸籍事務を処理するに当たりよるべき基準を法務大臣が定め(戸3Ⅰ)、戸籍事務が全国統一の基準により執行されていることにより、身分関係の形成、変動、終了等の事項が一定の方式にしたがって適正に記載される。
 そのため、戸籍によって、親子関係、夫婦関係等の身分関係を認定することができ、公証されることによって証明が可能となるのである。

 オ 相続関係の証明
 上述のように、戸籍は身分関係を証明することができることから、相続が発生した場合に相続人を確定する機能を有しており、不動産登記、金融機関実務をはじめ、およそ相続人を確定する必要がある場合にその証明書として機能している。

 

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