たかが特別代理人選任申立て、されど特別代理人選任申立て

父が亡くなり、相続人が母と未成年の子供のような場合、母と子供が遺産分割協議をするためには、子供の権利保護のために裁判所で特別代理人(親族等が選任されることが多い)を選任する必要があります。これは、母が自らの相続人の立場と、子供の親権者としての立場で分割協議をすることは、子供の利益を害するおそれがあるからです。選任別代理人が選任されると、母と特別代理人が遺産分割協議をすることになります。
実務的には、特別代理人選任の申し立てをする際に遺産分割協議書案を裁判所に提出します。裁判所は、未成年者の権利が守られているか、つまり、法定相続分が確保されているかという点を中心に検討しているようです。

さて、みなさんは、次のような事例はどのように考えるでしょうか。

相続人は、母と12歳の子供。相続財産は時価3000万円の自宅土地建物と、亡くなった父が経営していた会社の株式。会社は、銀行から5000万円の借入れをしており、株式の評価はゼロ。会社は母が経営を続けたい。

ある司法書士の回答は次のようなものでした。

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天国からの代理人

「遺言執行者選任の審判がでました。予定どおり私が遺言執行者に選ばれましたので、亡くなった方の財産の明細がわかる資料をお持ちください」
電話を切って3時間ほど後、遺言で受遺者に指定されたS男は茶封筒を抱えて事務所に入ってきた。
亡くなったT子はS男の遠い親戚にあたるが、身寄りがなく、亡くなるまでS男の世話になった。
もちろん、葬儀もS男が執り行った。
T子には相続人がおらず、すべての財産をS男に遺贈するという走り書きを残して亡くなった。
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この土地の所有者は誰?

「ウチの南側の土地に雑草が生い茂って困っているんです。それで、なんとかこの土地を買いたいと思っているのですが・・・」

不動産会社から紹介された、中古車販売店を経営しているというその男は話を切りだした。

問題の土地には小さな小屋が建てられており、そこに暮らしていた老女が昨年亡くなったという。
そして、現在は荒れ果ててしまったが、勝手に草刈りをするわけにもいかず、弱り果てているということだ。

「相続人はいないのですか?」

と聞いてみると、まるで身寄りがなく、民生委員が臨終を看取って、簡単な葬式を出したということだ。
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被告は誰?

「親父にこんな借金があるとは知りませんでした」

家庭裁判所が相続放棄の申し出を受理した旨の証明書を鞄から出しながら、精悍な顔つきの男は話し始めた。

彼の父は、妻と離婚してから男手ひとつで子供3人を育て上げ、子供たちが立派に社会に出てからはひとりで自宅に暮らしていた。
自宅と言っても、もう数十年前からの借地で、建物は15年程前に建て替えて住宅ローンが残っていた。
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銀行利息よりも有利な法定利息

過去の法律雑誌を読んでいたところ、さいたま地裁熊谷支部でおもしろい判例が出ていた。

 事案としてはこうである。 原告は、公正証書遺言によって遺言執行者に指定されていた者。 被告は、遺言執行者から相続財産である預金の払い戻しを請求された銀行である。

 そして、原告が預金の払い戻しを被告に申し入れた際、被告の担当者がこれを拒否したことが違法であるとして、原告は、不法行為に基づく損害賠償を被告に請求したのである。

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ある兄弟のこと

 梅雨明けが宣言されたばかりの蒸し暑い日の午後、私は今にも朽ち果てそうな建物の玄関でぼう然と立ちつくした。
 ドアというドアは壊れ、土埃が畳に積もっており、主が不在となって久しいことは明らかだった。部屋の中にはほとんど家財道具といえる物はなく、湿った空気だけが充満していた。

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